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今回のオーラルケアのお話はひとまず最終回、今日は家庭でのケアの仕方についてお話します。


長々とお話してきた恐ろしい歯周病を防ぐために、家庭でのケアはどうすればよいのでしょうか?
結論から言うとブラッシングに勝るものはないそうです。

歯垢が付きにくいと謳ったドライフードも、殆どを噛まずに飲み込む犬の習性から考えて特段意味のあるものとは思えないし、液体歯磨きを口腔内に垂らす方法もそれだけでは歯垢を取り除くことは不可能なんだそうです。
デンタルガムもあくまでも補助的に使用するもので、それだけで全ての歯垢を取り除くのは難しいとのこと。


では具体的にブラッシングとはどのようにすれば良いのか・・・
ガーゼを指に巻いて・・・なんていう話も聞きますが、やっぱり小回りが利くように小さいヘッドの歯ブラシを使用した方が良いそうです。

歯ブラシ
我が家ではシェリーが3歳児用、シュクルは乳児用の歯ブラシを使用しています。
ペット用の歯ブラシは意外にヘッドが大きいものが多いので、人間の乳児用で十分だそうです。そして毛質はなるべく「やわらかい」ものを。

そしてブラッシングは基本的に人間と同じように、斜め45度くらいの角度で歯の付け根部分を軽くブラッシング
犬用の歯磨きペーストもありますが、ブラシ部分を水で濡らすだけでもOK
ほとんどが歯の外側に歯垢が付くので、無理に口をあけさせたりせずに口を閉じたまま磨ける外側の部分だけでも十分効果が期待できるそうです。
もちろん、他のしつけと同様、最初から無理にブラッシングしようとせず、まずは口周りを触ることから初めて終わったら「フードを一粒ご褒美であげる」「褒める」など歯ブラシと良いイメージを結び付けるようにして、毎日ちょっとずつ徐々にステップアップして慣れてもらうと良いと思います。


4日間にわたって色々発信してきましたが、かくいう私もシェリーが幼い頃は一生懸命歯磨きをしてあげていましたが、徐々に忙しさにかまけてケアを怠ってきました。
そして今回の研修で学んだことを踏まえるとシェリーは多分歯周病です シュクルももしかしたら?
歯石も幾分見られるので、まずは獣医さんを十分リサーチして歯石除去をしてもらうとともに、今後は歯石が付かないようにケアを怠らずにしていこうと決意を新たにしました。
字面ではわかりにくいと思いますのでトリミングにいらっしゃった際に仰っていただければ目の前でやり方など実践してお見せしますのでお気軽にどうぞ
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 2010_09_08





今日は歯周病がどのように進行して、どのような疾病に発展するのかのお話。
ちょっと長いですがお付き合い頂ければと思います



歯周病とは歯垢の中に潜んでいる細菌によって「歯周組織(歯肉・歯根膜・セメント質・歯槽骨)」に炎症が起きる病気です。
犬の場合歯垢から歯石に変わるスピードがとても速く、人で1~2週間かかるところ、たった3日で歯石になってしまうそうです。歯垢はブラッシングで取り除くことが出来ますが、歯石になってしまうと飼い主さんのケアでは取り除くことが出来ません。歯石には生きた細菌は含まれませんが、表面が凸凹になるため新たな歯垢が付きやすい環境になってしまいます。


では歯周病はどのように進行するのでしょうか?

歯周病には「歯肉炎」と「歯周炎」の2段階があります。
歯垢や歯石が蓄積して歯と歯肉の間(歯周ポケット)に入り込むと最初に歯肉に炎症が起きます。これが「歯肉炎」です。歯の表面が黄色~茶色に見える、歯肉の上部(歯との境目)が濃いピンクになってわずかに腫れている、といった症状で、飼い主さんがよほど注意して見ていない限り気付かないことが大半です。

歯肉炎が進んでいくと歯周ポケットは深くなり、より細菌が繁殖するようになります。歯肉以外の歯周組織にも炎症が及ぶと「歯周炎」になります。歯肉はますます赤く腫れ、歯垢や歯石も多く見られるようになります。炎症によって生じたガスや腐敗物のために口臭がするようになり、ワンちゃん自身痛みも感じ始めるようになります。

ここからさらに症状が悪化すると、歯を支えている歯槽骨が溶けて歯がグラつき、歯周ポケット内に膿がたまり漏れ出てくる「歯槽膿漏」が見られることも。ここまでくると歯を残すのが難しくなるそうです。また、炎症部分から細菌が血管内に侵入し、心臓・肝臓・肺・腎臓に達し全身性の疾患を引き起こす可能性もあるそうです。どうかお早めに獣医さんにご相談くださいね。


また歯周病が更に進行することによって引き起こされる疾患で「歯瘻(シロウ)」「口鼻瘻管(コウビロウカン)」「下顎骨骨折」というものもあります。

各キーワードで検索すると写真も出てくると思いますので是非ご覧になっていただきたいのですが・・・・・・
歯瘻は歯の根元に溜まった膿から炎症が進み、顎の骨を溶かしてその上の皮膚に穴があいてしまうことで、目の下など皮膚の外側に穴があく「外歯瘻」と口腔内に穴があく「内歯瘻」があります。穴からは膿や血液が排出されます。

口鼻瘻管は上顎の歯の根元で炎症が進み、鼻との間にある骨が溶けて口腔と鼻腔が貫通してしまうことです。鼻水やくしゃみ、鼻からの出血などが見られます。犬はくしゃみを殆どしません、くしゃみの症状が頻繁ならば一度獣医さんに診てもらった方が賢明だと思います。

下顎骨骨折は骨が溶けることによって下顎の骨が薄くなってしまい、固いものを噛んだとき等に支えきれず骨折することがあるそうです。トリマーの私たちに向けてはマズルを握っただけで骨折することがあるので注意するようにとアドバイスがありました。

以上ような重篤な状態になる前に、初期段階で獣医さんに「歯石除去」と「歯周ポケットの清掃」を行ってもらい家庭でのブラッシングを続けていくと良いとのこと。歯石除去を行ってくれるトリミングサロンもあるようですが、歯石を除去するだけでは歯の表面が凸凹になりかえって歯垢が付きやすい状態になってしまうそうで、その後行う「ポリッシング(研磨)」がとても大切なんだそうです。細菌が潜んでいる「歯周ポケットの清掃」も必ずしてもらうようにとのことでした。(「歯周ポケットの清掃」は知識の無い獣医さんだとしないところもあるようなので病院選びも重要ですね・・・なんでも、大学で獣医学を学ぶにあたって歯の授業は6年間のうち1~2時間なんだそう。自分から進んで学ばなければ獣医さんもなかなか理解していないことが多いんだとか。。。)

また歯石除去には全身麻酔が必要になりますので、高齢の場合や健康状態が悪い場合など麻酔がかけられず治療が出来ない場合があります。歯石見られないうちに家庭でのブラッシングを最低3日に1度は行って歯垢をしっかり落とすことが非常に重要だということです。



ワンちゃんの口は本来無臭なんだそうです。口臭を感じるようならまず間違いなく歯周病だと講義をしてくださった獣医さんが仰っていました。皆さんのお宅のワンちゃんは口臭はありませんか??
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 2010_09_07





犬の歯は人間の歯と同じようにエナメル質、象牙質、歯髄で構成されています。
ただ、エナメル質は非常に薄く、人間の1/5~1/3の厚さしかありません。

犬=咬むというイメージから「犬の歯は強い」と思っている方が多いかもしれませんが、
実際は硬いエナメル質が少ないのでむしろ人の歯よりもずっと弱く、また薄っぺらいので横からかかる力に非常に弱いのが特徴です。


昨日「犬に虫歯は少ないが歯周病が多い」とお話しましたが、
歯周病の他に多いのが『破折・咬耗』です。
破折(ハセツ)は歯が折れることで、硬いものを無理に咬むことで上顎第4前臼歯が折れることが多いそうです。
硬いおやつ(ひづめや骨など)はリスクが伴いますので控えた方が無難だと思います。
咬耗(コウモウ)は歯が擦り減ることをいいます。歯がゆっくり擦り減れば歯髄(いわゆる歯の神経があるところ)を守る修復象牙質が作られて歯髄が守られますが、歯の擦り減り方が激しいと歯髄がむき出しになりそこから細菌が入り込んでしまいます。

少しオーラルケアとは違うお話になりますが、犬に多いお口のトラブル、もうひとつが『乳歯遺残』です。
ワンちゃんにも歯の生え換わりがあることはご存知でしょうか?
たまに乳歯が抜けず二重歯列になってしまったワンちゃんを見かけることがありますが、これも気をつけないと歯周病の原因になることがありますのでご注意を。。。
もしも永久歯の頭が出てきたのに乳歯が抜けないようなことがありましたら早急に獣医さんに相談してくださいね。


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 2010_09_06





今日はトリマーの義務研修会でした。
席が遠すぎて写真は撮れなかったんですが・・・
テーマは『犬のオーラルケア講座』
かなりためになる内容だったので、何日かに分けてレポートをお届けしようと思います


「犬は虫歯にならない」
そんなことを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
正しくは「虫歯になりにくい」のですが、その理由は大きく分けて3つ。

①口腔内のpH(ペーハー)
pHは酸性・アルカリ性の度合いを示す数値。
人の口腔内がpH6.5~7.0の弱酸性なのに対し、犬の口腔内はpH8.5~9.0のアルカリ性。
虫歯は虫歯菌が口腔内で炭水化物(糖質)を発酵させて酸を作り、その酸によって歯の表面の組織を破壊されるものです。
犬の口腔内がアルカリ性のため、虫歯菌自体が住みにくい環境であるのに加え、仮に酸が作られてもすぐに中和されてしまうのが虫歯になりにくい理由の一つめです。

②歯の形状
人間の歯の多くは臼のような形状をした臼歯です。咬み合う面のくぼみ部分に虫歯菌がたまります
犬にも臼歯は存在しますが、お家のワンちゃんの歯を見てみてください。ほとんどが薄っぺらくとがった形をしているので虫歯菌がたまりにくい構造なのです。

③唾液中の酵素
人の唾液には食べ物の中のデンプンを分解するアミラーゼという酵素があります。犬にはこのアミラーゼが無いため、口の中に糖があまりとどまりません。

こうした理由があり、「犬は虫歯になりにくい」のです。
では何故オーラルケアが必要なのでしょうか?

虫歯になりにくくても『歯周病』は非常に多く発生しているからなのです。

歯磨きなどを行わないと歯の表面に付着した歯垢が次第に歯石になっていきます。その上にさらに歯垢が付着してそれがまた歯石になるという悪循環。
歯垢中の歯周病細菌によって歯肉やその他の歯周組織に炎症が引き起こされる病気を歯周病といいます。
人にも見られる病気ですが、犬猫ではあらゆる病気の中で最も多く、3歳以上の約80%に歯周病が認められます。これは放っておくと歯が抜け落ちたりするだけでなく、病原菌が心臓や腎臓に達し全身性の病気に発展することもあるそうなので要注意です


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 2010_09_05




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trimmer彩

Author:trimmer彩
自宅マンションでトリミングサロンをしています☆
昔から好きな犬種はゴールデンレトリーバー,ドーベルマン,秋田犬,フレンチブルドッグ等トリミング犬種ではない犬ばかり・・・だったりします^^;
でもトリミング犬種たちも大好き、トリミングも大好きです。
2012.10 JKC A級トリマー資格を取得しました☆

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訪問ありがとうございます。

はいけい、
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